東海第二原発再稼働阻止 11月までの許認可をめぐる首都攻防
 
 東海第二原発運転差止訴訟原告団 
                           (「はんげんぱつ新聞」2018年5月号)

 東海第二原発の安全対策費一七四〇億円。過去の借入さえ渋られて資金余裕などない日本原電(株)は、借入のために差し出す担保物件もすでにない。二〇一一年以降は東電らの電気料金に転嫁されてすでに国民が九〇〇〇億円を負担して維持されていてすでに経営破綻している「原発専業会社」。一七四〇億円借入には銀行団から第三者債務保証を求められている。
 東京電力が東海第二再稼働の「前払い資金支援・債務保証」をするというとんでもないことが起きている。原発事故を起こし国費二十二兆円を投じて維持している企業が、被害者への賠償を拒否・値切りしておいて他社の原発再稼働支援など国民的に許してはならない。

 規制委員会の経理的基礎の審査は茶番だった。「経理的基礎の審査基準などない」と居直り日本原電の事業計画・返済計画も審査していない。東電支援表明で「安全対策費が調達できることが確認できさえすればよい」とした。日本原電の将来の経営は電事連や監督官庁である経産省が考えること」と責任転嫁した。経産省は「一昨年の電気事業法改正で発電事業は許認可制から届け出制になったので監督権限などない」とシラを切った。無責任体制を象徴する出来事である。許してはならない。

 規制委員会は四〇年「期限」となる今年11月に向けて「四つの許認可」を出して再稼働させるために日本原電を「叱咤激励」している。運転四〇年が来る前に許認可されていないと自動的に「廃炉」が決定する。「四〇年原則」である。四つの同時並行審査はタイトである。工事計画認可はBWR初の審査、しかも国内で最も旧く脆弱な東海第二原発であれこれの重大事故対処設備を付け足した初めての設計、人材資源も乏しい日本原電であることだ。時間のない審査は必ずボロが出る。

 十一月までの半年間の許認可をめぐる攻防。首都の原発=東海第二原発再稼働を阻止する山場である。規制当局の許認可とその背後にある東電への追及に焦点を絞り、日本原電に二〇年運転延長を断念させよう。東電支援の反対署名運動で首都世論を喚起し、規制の審査を監視して追求し、審査書案パブコメに多くの国民・専門家意見を集め、許認可後は規制委への異議申立、司法への差止仮処分申立、周辺6市村「新協定」を盾にした不同意運動など、地元の脱原発の運動と首都圏の広範な市民・団体・政党が連携して再稼働を阻止しよう。